カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚ました。
数拍遅れて鳴り響いたアラームを止めて、気分の重さにため息を吐く。
昨日は散々な一日だった。
あの後沢里から逃げるように自分の教室に戻るとホームルームはとっくに終わっていて。
教室に残っていたクラスメイトたちからの、「転校生と知り合いなの?」「どういう関係?」なんて質問を全力で否定しながら帰路に着いた。
土井ちゃんから心配するメッセージが届いたが、当然全てを説明することはできなかった。
それに加えて昨晩は新曲の作成を進めるはずだったのに胸がざわざわしてそれどころではなくなってしまったのが痛い。
おそるおそる柾輝くんに「転校生に【linK】だってばれた」とメッセージを送ったが、返信はない。
そういえばライブが立て込んでいると言っていた。唯一の理解者の手も借りられない状況だ。
一晩たってもまだ心に衝撃が残っている。
『あんたは【linK】だ、間違いない!』
『一緒に歌いたい』
脳内で繰り返される声を消したくて頭をぶんぶん振っていると、トントンと控えめなノックが部屋に響いた。