「息もれ?」
「はい、いい治し方知りませんか?」
朝食を食べながらニュース番組を見ていた透流さんに質問する。
医大生だったら人間の体について詳しいのではという安易な考えのもと、相談に踏み切った。
くわえていたたくあんを飲みこんだ透流さんは、私の顎に手を伸ばし、そのまま喉元を観察し始める。
「ぜんそくは?」
「ないです」
「気管支系の持病は?」
「ないです」
医者の問診を受けている気分の中、時計を見て納豆ごはんをかきこむ。
透流さんはふんと鼻を鳴らして「調べてみるよ」と一言残してテーブルを離れた。
「ありがとうございます!」
「別に構わないけど。登校時間大丈夫?」
「大丈夫じゃないです!」
「…………なんだか今日は嬉しそうだね」
上手くやれているかはさておき、透流さんとの会話が少しだけ増えた今日この頃。
私は浮かれた気分を押し殺しながら弾むように登校し、遅刻ギリギリで教室に滑り込んだ。