「メールだけはご勘弁をぉぉ!!」
と、友達の個人情報を売りさばき自分の恥部を死守しようとしたとき、イケメン君がポンッとスマホを投げてよこした。

スポンッとあたしの手の中におさまる愛しのスマホ。
あぁぁぁぁよかった! 戻ってきた!!
「俺の番号入れておいたから、電話やメールにはちゃんと返事をすること。いい?」
「へ……?」
キョトンとしてイケメン君を見つめるあたし。

イケメン君は膝を曲げてあたしの身長と同じになると、また鼻の頭をつんっとつついてきた。
「い・い・ね・?」

「は……はい! いいです! いいともー!」
ふわりと甘い香水の匂いがイケメン君が漂ってくる。
そんな距離感にあたしの頭は爆発寸前。

イケメン君はあたしの返事に満足そうにほほ笑み、バッグをあたしに返すとすぐに背中を向けて歩いて行ってしまった。
あたしはその後ろ姿を見送り、その場にへなへなと座り込んでしまったのだった。