「えぇ?」
「これはただの暇つぶしだ。カヤを心配する必要がない」
「転校までさせておいて、ひどい事言うねぇ」

「俺のおかげで死ぬまで食べられない三大珍味を家族で食べられた。それだけでいい思い出だろ」
「晴って結構性格悪いね」

圭はそう言いおかしそうに笑う。
「お前も似たようなものだろ?」
「俺はちゃんと付き合ってあげるもん。晴みたいにその気にさせて一回遊んでポイッとか、しないし」

圭の言葉に俺はフンッと鼻を鳴らしてロッカーを閉めた。
「先に行っているぞ」
「はいはい。あ、それからさぁ晴」

「なんだよ」
「カヤちゃん、そう簡単にはオチないと思うよ」
「はぁ……?」

俺はドアノブに手をかけたまま、振り向いた。
あの女がオチない?
そんなハズないだろう。

「最初は簡単そうだなって俺も思ったけれど……いきなり秋原高校に転校させられて、芸能人に囲まれて、それなのにあの堂々とした態度を見ていたら、こいつは違うなって思ったんだ」