その日の昼休み。
あたしは【ツインズ】に頼まれて購買までパンを買いに来ていた。

学校の購買のパン競争なんて、学生の毎日のお祭りじゃないの!?
と思ったけれど、行ってみればみんな綺麗に整列して並び、もみくちゃになっていない。

「桃谷高校とは大違い……」
人気のあるパンは必ず大量に売ってあるようで、お祭り騒ぎになる必要もないみたいだ。

それはそれで少し寂しい気持ちはあるけれど、あたしは2人にリクエストされたメロンパンとハニートーストと、自分のお昼ご飯を買うと列から外れた。

2人とも甘党なのかな。
顔には似合うけれど性格には似合わないよね。
そんな事を考えながらあたしはパンを両手に抱えて階段を上る。

2人は教室のテラスでパンが食べたいとあたしに向かってわめき散らし、高級ブランドの財布を押しつけてきたのだ。

もう目が覚めているんだし、購買くらい自分で行きなさいよ!
と、怒鳴ろうとしたのだけれど、晴の「この金を使ってカヤの分も買っていいからな」と、言われたため、あたしは喜んで購買まできてしまった。