まぁ、CDがヒットした時、ちょうど潰れそうになっていたこのショッピングモールに何千万という金を融資しているから、このくらいの礼は当然だと思っている。

「レアな子だよね。若くて可愛くてすっとぼけて、その上俺たちを知らないだなんて」
そう言い、圭は笑い声をあげた。
「イケメンを見て鼻血ふく女だって俺は初めてだ」

緊張して貧血を起こす女は何人かいたけれど、こんなに豪快に血だまりを作って倒れた女は、カヤが初めてだ。
「で、この子目が覚めたらどうする?」

「それを今考えておこうと思ったんだ」
俺はジュースを片手に圭の隣に座った。
「ソフトクリームの事なんて、本当はちっとも気にしてないんだろ?」

「あぁ。ブランド物っていっても20万くらいの服だしな。もう新しいのを注文した」

そう、問題は服ではない。
そんなものいくらでも好きなものを買えるから、どうでもいいんだ。
俺がほしいのはこいつ。