晴が体育館で倒れて保健室へ運ばれたと聞いて、午後の授業が始まる寸前あたしは教室を飛び出していた。
みんなが各自の教室へと戻るなか、1人逆方向へと走るあたし。

途中でチンピラ先生とすれ違い足を止めたけれど、チンピラ先生はまるであたしが見えないとでもいうように、黙って横を通り過ぎて行った。
以外といい先生なのかもしれない。
あたしはそう感じ、先生の後ろ姿に一礼すると、再び走り出した。

保健室のドアを勢いよく開くと、そこには見たことのある男たちが立っていた。
ハジメに誘拐された時あたしを助けてくれた人たちだ。
「晴は!?」
そう言うと、1人がカーテンのひかれている奥側のベッドを指差した。

あたしはすぐにかけて行き、カーテンを開ける。

そこには静かに寝息を立てている晴がいた。
その顔は所々赤く染まり、見た目に痛々しい。

あたしは全身の力が抜けてしまいそうになるのをなんとかこらえて、ベッドわきまでやってきた。
「晴……」