ギリッと奥歯を噛みしめて、俺は勢いよく飛び起きた。
体育館の外からガヤガヤと話声がきこえてくる。
「圭、1つだけ大切なことを教えてやるよ」
「……なんだよ」
「卑怯者は、どれだけ頑張っても本物のトップにはなれない」

俺がそういうと同時に体育館のドアが開き、そこには黒猫のメンバーたちがズラリと並んでいた。
圭は驚いたように目を見開く。

「晴、大丈夫か!?」
「無理すんなよ、晴」

「足をやられてるんだな。おい、手をかせ!」
すでに圭のものとなっているはずの黒猫のメンバーが、次々と俺の元へ駆け寄ってくる。
「どういうことだよ、これ……」

圭1人だけが、オロオロと周囲を見回している。
さっきシャワー室から出てきた時に、メンバーにここまで来るようにメールを一斉送信しておいたのだ。

そして、みんな俺に従ってくれた。
「黒猫のメンバーは最初からお前について行く気なんてないってことだ」
それはそう言い、フッと笑ったのだった。