☆☆☆

シャワールームから出てきた俺は、体育館の中でバスケットボールをしている声がすることに気がついた。
単純に生徒たちが休み時間を使って遊んでいるのかもしれないと思いながらも、その中をチラリとのぞく。

するとそこにいたのはバスケ部のメンバーを圭の姿だった。
へぇ。
こんなふうに圭が昼休憩中に運動をするのは珍しい。
特に最近はカヤをからかう事が面白くて教室ばかりにいた。

俺は高くジャンプをした圭のボールが、ゴールへと吸い込まれていくのを目で追った。
「圭!」
何人か集まって来た生徒たちの歓声で体育館が包まれた時、俺は圭を呼んだ。
圭はバスケ部のメンバーたちに軽く手をふり、小走りにこちらへかけてくる。

額から流れる汗に上気した頬。
軽く肩で呼吸を繰り返し、「なに?」と、首をかしげる圭。

そんな圭の頬を俺は迷わず拳で打ちつけた。
どっと倒れる晴。
体育館にざわめきと悲鳴がわく。