「あたしは晴に守ってもらわなくたっていい! 現に女子からのイカガラセにも耐えてきたのに!」
「女子と一緒にするな。あんな軽いものじゃ済まされないぞ」
「でも……!!」

悔しくて、自分が力のない女であることが許せなくて、あたしは唇をきつく噛んだ。

「……怒ってくれて、ありがとう」
晴があたしの頭をそっとなでた。
そのまま引き寄せられて、晴の胸に頬をピッタリと当てる。

「取り返してくれなきゃ、怒ったままだからね」
「へ?」
「黒猫の頭は晴なんでしょ? じゃあそれを、圭から取り返してきてよ」

我儘で俺様で王子様でアイドルで最強で。
そんな晴から1つでも欠けたら、それはもうあたしの好きな晴じゃない。

「カヤ……」
「じゃなきゃあたし、圭と付き合うから」
あたしはそう言い、一瞬だけ晴の唇に自分の唇を押し当てて、シャワールームから出たのだった。