知っていて、あたしがSOSを出すのを待っていたんじゃないだろうか。
だとしたら、少しくらい甘えてもよかったかなぁなんて、思ったりして。

暖かなお湯と湯気に包まれて、あたしの汚れは落ちて行く。
コポコポと音立てながら排水溝へと吸い込まれていく汚れを見ていると、心まで綺麗になっていくように感じるから不思議だ。

「晴だって頑張っているんでしょ」
甘いシャンプーの香りをかぎながら、あたしは言った。
「は? なにを?」
晴が不思議そうな顔をしてあたしを見下ろす。

あたしは晴のたくましい腰に手を回した。
初めて触れる異性の腰は想像していた以上にガッシリとしていて、女性のそれとは明らかにちだった。

あたしの指先が触れると晴は微かに体を硬直させ、6つに割れた腹筋が動いた。
くすぐったいのかな?
と、思ったけれど、あたしはそのままギュッと力を込めた。