本当は殴り語った。
見れないくらいメチャクチャな顔にしてやりたかった。

だけど、相手は晴たちと同じアイドルだ。
ここまで人気になったのだって、リーサの努力があるからだ。

それがわかっているから、あたしは拳を上げることはしなかった。
そしてその泥のつけ合いというなんとも不思議な喧嘩を中断させたのは、担任のチンピラ先生だった。

チンピラ先生はその場にスッと現れ、まるですべてを見ていたかのように冷静なまなざしであたしたちを見下ろした。

「リーサ、お前は今日からC組だ」
そして、いたって冷静な口調でそう言ったのだ。
リーサが唖然として動きを止める。

あたしも、予想外の言葉にリーサから体を離した。
「どういう事ですか……?」
唖然としているリーサが体を起こす。

「お前最近人気が急下降しているみたいだな。学校での行いが外部に漏れた可能性がある」
淡々と説明をするチンピラ先生に、リーサの顔はサッと青ざめて行く。


そしてチンピラ先生は取り巻きたちに視線をやり「お前たちも気をつけないと、同じ目にあうぞ」と、それだけ言ってこの場所を去って行ったのだった。