「球技大会?」
知っているもなにも、あたしもあの場所に一緒にいたじゃないか
そう思っていると、リーサは更に言葉を続けた。
「圭君から聞いたんだけど、あの2人大切なものを掛けていたらしいわよ?」
そう言いながら、リーサは無駄にクネクネと動きセクシーアピールをしている。
そんな妙な動きをしているリーサだが、言っていることは本当みたいだ。
あたしも気になっていたんだ。
球技大会後、圭が晴にささやいた言葉の内容を。
「なにを掛けていたの?」
「詳しいことはわからないわ。圭君、ちゃんと話してくれないくて」
そう言い、リーサは悔しそうに顔をしかめる。
顔をしかめた顔さえ美しくて、あたしは同じ人間でいることにほとほと疲れてしまう。
「でもあたしたちの間じゃ専らの噂なんだけど……」
リーサはそう言い、あたしに1歩近づいた。
晴の付けている香水とは違い、ギトギトとした濃い絡みつくような匂いがしてくる。
「入れた得点が少なかった方が、松井さんと付き合わなきゃいけないって掛けだったんじゃないかなって」



