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そして数分後。
部屋の中に浴衣を来た1人の美少女が棒立ちになっていた。
「誰……これ……」
あたしは呆然としながら全身鏡に映る美少女を見つめる。

「カヤ様でございます」
「嘘だ!!」
「嘘ではございません。カヤ様は元々美しい顔立ちをされております。それを最大限に生かして差し上げただけでございます」

丸本ジィジがスーツケースに化粧品を戻しながら、そう言った。
「これが……あたし?」

鏡にそっと触れてみる。
この鏡が間違えていなければ、これは間違いなく自分自身だ。

「信じられない……」
仮面でも被せられたのではないかと思い、顎のあたりをひっかいてみる。

しかし、それはとれることはなかった。
「さぁカヤ様、行きましょうか」
「は……はい……」

いまだに自分の姿が信じられないまま、あたしは丸本ジィジに腕をひかれて歩き出したのだった。