この状況を全く把握していないのはカヤちゃん1人で、俺は一旦自分の気持ちを落ち着かせることにした。

晴を負かせようとする気持ちばかりが焦って、大切なカヤちゃんの気持ちを無視していては話にならない。
「カヤちゃんは気がついていないと思うけれど、俺はカヤちゃんの事が好きだよ」
「へっ……!?」

俺のストレートな言葉にカヤちゃんは大きな目を更に大きく見開き、そして言葉を失ってしまった。
「晴も俺も、出会った時からカヤちゃんに惹かれているんだ」
「そ、そんなこと……急に言われても……」

「焦って答えを出す必要はないよ。そのための宣戦布告なんだから」
俺はそう言い、カヤちゃんへ向けて微笑みかけた。
同じ顔、同じ身長の2人に告白されたって、カヤちゃんの頭がパンクしてしまうだけだ。

「俺は弟相手だろうと、カヤを譲る気はないぞ」
「もちろん。初めての本気の恋なんだから、手を抜かれちゃ困るよ」
そう言い、俺はカヤちゃんの頬にキスをした。

晴は唇にしているんだから、頬くらいいいだろう。

そう思ったのだが……。
次の瞬間、カヤちゃんがブッと鼻血をふき、その場に仰向けに倒れてしまったのだった……。