なんて、完全に相手に捕まっているくせに冷静に考えたりする。
黒猫や白狗って一体何者なんだろう?
桜美の敵?

疑問は湧いて出てくるばかりで、あたしはフゴフゴと息を漏らした。
「どうしたカヤ、苦しいか?」
ハジメがすぐに気がついてきてくれる。
あたしは左右に首を振り、そして小首を傾げた。

「なにか言いたいのか?」
ジッとハジメがあたしを見てくる。
「フゴフゴ……フゴフゴ……」

「ん? 黒猫と白狗? あぁ、そっかカヤは何も知らないもんな」
さすが半年付き合っている相手だ。
あたしは話せなくたって空気で理解してくれている。

そんな素晴らしいきずなを感じる。
「黒猫と白狗っていうのはな暴走族グループの名前なんだ」
うんうん。

ハジメの言葉にコクコクと頷くあたし。
「その黒猫と白狗っていうのは元々大きな1つのグループで、今は2つにわかれている」
うんうん。
「2つにわかれた理由は、グループが大きくなったため、束ねやすくするためなんだ」

うんうん。
「で、俺たち桜美はその2つのグループに目をつけているワケだ」
うんうん。
「桜美がもっと力を付けるために2つのグループを吸収したい。そんな時、なんとカヤの知り合いに黒猫の頭がいたってわけ!!」