圭は、俺の全部を見抜いていたんだ。
俺は脱力する思いで、その場にようやく立っていた。
何も言い返すことはできない。
すべて本当のことだ。

「ねぇ晴、いつもの晴に戻ってよ。じゃないと今カヤちゃんを助けたって、また同じように傷つけちゃうよ?」

圭が表情をゆがめてそう言った。
それは俺にたいして言っている言葉だったけれど、圭は自分自身にも言い聞かせているような気がした。

俺は少し目を大きく見開いて、圭を見た。
「圭……まさかお前……」
「……俺は好きじゃないよ。カヤちゃんのことなんて」
圭の瞳が揺れた。

その瞬間ハッとする。
圭はカヤのことが好きなんだ。

だけど……圭、お前が好きじゃないと言うなら、それを信じてやるよ。
俺はグッと拳を握りしめた。
これは俺と圭との戦いだ。

カヤを助けるための。
そして、カヤをかけた戦いだ。

「悪いが、道を開けてもらおうか、圭」
「俺だって譲らないよ、晴」

カヤは、カヤだけは誰にも渡さない……!!