似たような事を考えて、ズキズキと痛む胸をごまかす。
「あぁ~はいはい。泣かない泣かない」
ハジメは困ったように眉を寄せて、あたしの涙を手の甲でぬぐった。

「さっきも言ったと思うけど、俺はカヤに危害を加える気はないから。ただ、黒猫と白狗に来てもらうだけだから」
ハジメがそう言い、あたしのバッグからスマホを取り出した。

「番号はわかるのか?」
メンバーの1人がハジメにそう聞く。
「あぁ。黒猫の本名を知っている。それにおそらく白狗はそいつの兄弟だ」

「へぇ。黒猫と白狗の頭は同じ人間だと聞いていたが、兄弟なのか」
「顔は同じだけど、別人だ」
そう言いハジメはあたしのスマホから晴へ電話をかけたのだった……。