「うわ、来たな」
ハジメが慌てて傘をさして、あたしに差し出す。
折りたたみ傘では小さいかと思っていたけれど、男性用なのである程度大きさがあった。

あたしはハジメに肩を引き寄せられて、急接近。
うわぁ! 

本物の相合傘だ!!
こんなあたしにこんな乙女チックなシチュエーションが訪れるなんて、生まれて子のかた考えた事もなかった。

これが彼氏!
これがリア充!
あたしは今幸せを噛みしめている!!

なんで、感動している所に大きな人影が前方から現れてあたしあたちは立ち止まった。
あたしは今とっても幸せなのに、一体誰よ。

と、傘の下から相手を見る。
そこに立っていたのはいつか映画館であたしに声をかけてきたあのゴツイ2人組みだったのだ。

あら、こんなところで会うなんて偶然ね。
なんて思っているうちに、あたしはあっという間に1人に担ぎあげられていた。
へ?

キョトンッとしている間に、男はどんどん歩いて行く。
「ちょ、ちょっと何するのよ!!」
ハッと我に返って方の上でジタバタと騒ぐ。