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今日の仕事の進みはスムーズで、スタッフや関係者たちは俺の真面目ぶりに驚いた表情を浮かべていた。
普段からある程度真面目にやってきたつもりだったけれど、俺は相当な問題児だったみたいだ。

この状況になって、それを改めて理解した。
「今日は本当にいい子だね」
車の中で弁当を食べながらの移動中。圭がおもしろくなさそうにそう言った。
「なんだよ、お陰で仕事がはかどってるだろ」
「それはそうだけど……」

煮え切らない様子で頬を膨らませる。
「晴がそこまで変われるなんて、カヤちゃんって一体何者?」

圭が本気でそんなことを言いだした。
俺は弁当に箸をつけながら思わず声をあげて笑った。

「カヤが何者かって? そんなのお前も見ててわかるだろ?」

俺がそう言うと、圭はジッと考え込んだ。
「ごめん晴。俺が見たままのカヤちゃんはね……。天然美少女、ドジでうっかり者で、頑張り屋……ってくらいかな?」
「うん。俺と一緒じゃん」

そう言うと、圭は俺を見て「たった、それだけ?」と、聞いて来た。
「それ以外になにがあるんだよ」
「だって……魅力的な要素がほとんどないじゃないか」