「1人の女にそこまで入れ込むなんて、晴らしくないね」
「……そうか?」
そんなこと自分でもよくわかっている。

カヤがどんな男を付き合おうが、俺には関係ない。
「全国トップを誇る暴走族チーム黒猫の頭。素顔は絶対に明かさない、覆面の最強男……。そう呼ばれている晴が女に入れ込むだなんていい笑い物だよ?」

圭はそう言い、クスクスと笑い声をあげた。
クッ……。
こいつ、面白がりやがって。

俺は奥歯をギリッと噛みしめた。
俺たち2人はアイドル活動をする裏側で全国の不良を束ねていた。
最初は不良なんかに興味はなかったが、コンサートで各地を回る度に目にしてきたんだ。

ファンを標的にした悪質な商売を。
俺たちのために集まったファンが、様々な被害に会っている事に俺たちは激怒した。

それから、俺たちは覆面をかぶるようになったんだ。
素顔を隠し不良たちを束ね、大きくなりすぎたチームを分担するため2つに分かれ、黒猫と白狗の頭になった。