カヤが悲鳴に近い声をあげる。
「うるさい! お前は黙ってろ!」

俺はカヤの方を見もせずにそう怒鳴り返した。
「どういうつもりだ、圭」

圭の体を立ちあがらせ、楽屋の壁に押し付けてそう聞いた。
怒りがフツフツと湧きあがり、自分でも制御できない。

「どうって、なにが?」
涼しい表情で圭が言う。

俺は胸倉をつかむ手に更に力を込めた。
さすがに苦しいのか、表情をゆがめる圭。
「カヤに毛布をかけたのは俺だ」
カヤに聞こえないよう、声を殺してそう言う。

「だからなんだよ」
圭はそう言い、口の端を少しあげて笑ったんだ。
「なんだと……?」