つまりこれは遥くんの独占欲からくるもので。


「・・・遥くん私のこと、大好きじゃない」
「そうだと言ってるだろ」


吹っ切れた遥くんは即肯定した。

それでもいきなり全部受け入れろと言われても無理な話だ。遥くんの気持ちを理解したが、まだ頭の中で整理出来ていない。

いまいち実感が湧いていない私に痺れを切らした遥くんはコツンと額を合わせてきた。

否応でも視線が重なる。


「もういい。お前は鈍すぎる。だからこれから覚悟しておけ」
「何、の」
「言って欲しいのか?」


良からぬスイッチを押してしまったのかもしれない。

そう思ったときにはもう遥くんの腕の中にいた。


「凜、好きだ。凜も俺のこと好きになって」


その言い方はいつもより幼かった。昔に戻ったみたいで懐かしい。

だからだ。


「・・・気が、向いたらね」


つい、期待させるようなことを言ってしまったのは。

まだ好きだとも気になっているとも言ってない。

解決しなきゃいけない問題だって沢山ある。

それなのに、遥くんは心底嬉しそうに笑った。

胸がキュンと鳴いた。





〈了〉