❆集也side❆

昔から俺は、すべてを兄貴に取られてきた。

両親からの愛情も、欲しいと思ったゲームもおもちゃも、彼女でさえ奪われてきた。

成績も何もかも優秀な兄貴。

誰もそんな兄貴の裏の顔を知らない。

だから、高校に入っても本気になるような彼女は作らないって決めてた。

「はぁ?猫が体調悪い?」

『そうなんだよ、家に俺しか今いなくて……病院連れてきたいから今日リスケしてもいい?』

その日遊ぶ予定だった男友達からのそんな電話。

まぁ、猫ならしょうがないよな……可愛いし。

「わーったよ。その代わりちゃんっと猫ちゃんの看病しろよ!?」

『まじでサンキュー集也!今度家に遊びきて愛でてやって』

「おー楽しみにしてるわ。じゃーな」

電話を切って、スマホをポケットに放り投げた。

……さて、どうしようか。