お隣のヤクザに要注意Ⅱ

風夏ちゃんと渡辺くんは別の場所にいる。

そういえば。

「芽衣ちゃんは好きな人とかいるの?」

「私?うーんいないかなぁ」

ふわふわしててモテそうなのに。

芽衣ちゃんを見るかぎり本当にいないみたい。

「だってガキにしか見えないんだもん♡」

……この見た目で出てくる言葉はありえないほど冷たいってギャップだけど。

「それに、風夏と凛みたく本当に誰かのことを好きになる人なんて極わずかだと思ってるから。私はあんな綺麗な恋愛知らないから」

芽衣ちゃんの言ってること、分かる気がした。

「きっと、誰のことも信じれないんだぁ。……って、なんか暗くなっちゃったね。ごめんね、仲良くなって初日に話すことじゃないのに」

「ううん……私も同じだったから。わかるよ」

そう言えば、芽衣ちゃんはほんの少し目を見開いたあと安心したように微笑んだ。

私たちは似ているのかもしれない。