お隣のヤクザに要注意Ⅱ

「まぁ、とりあえずその顔……どうなってんの?取りなよ」

「え、あ、あぁ」

被ってたマスクを取った。

ふぅー……息しやすい。

「あの、颯……話すと長くなるんだけど、聞いてくれるか?」

「当たり前でしょ。聞くよ最後まで」

「……12年前の冬。神楽組が神蘭組を潰した事件のこと知ってるか?」

きっと颯は次期組長だから、過去のあれこれは知ってるだろう。

予想通り颯は首を縦に動かした。

「神蘭組が海外のマフィアと手を組んだことに腹を立てた父さんたちが、裏切った神蘭組を潰したんだよな。……あれから父さんは変わったから、痛いほど知ってる」

眉間に皺を寄せて俯いた颯。

「その神蘭組で唯一子供がいたふたりがいるんだけど……」

「あぁ知ってる。花園叶恋だろ?」