生きててくれてよかった。

その言葉は私にとって、何よりも重たくて。

あの地獄の日々を味わったからこそ……胸が苦しい。

「あ、ごめんなさい!私泣かせるつもりはなくて……」

「叶恋……」

私の頭に手を置いた羅虎。

お父さんもオロオロしてて。

「違うんです……私、私も嬉しくて……っ」

って……泣いてばかりだなぁ私。

ちゃんと、話さないと。

「私、神楽叶恋になりたい」

私の言葉に目を見開いたふたり。

これは……私の本心。

「ずっと育ててくれたお母さんとお父さんのこと大好きで、あの雪の日のことを鮮明に覚えてて……だけどすべてを知って、ふたりがしたことは悪いことで。それでも私……嫌いになれない」

「叶恋、無理はしなくても……俺らは無理やり神楽に戻したいわけじゃないんだよ」

「私が、神楽叶恋になりたいの」