お隣のヤクザに要注意Ⅱ

『花園叶恋』

人見知りを発揮させながら俺に名前を教えてくれた叶恋も。

『寂しい思いしなくていいよ』

そう優しい瞳で言ってくれた叶恋も。

『あぁ……直接言われるのってこんな感じなんだ』

変に無頓着な叶恋も。

俺と向き合ってくれた叶恋も。

『集也!私今度あそこ行きたい!』

気がつけば心を許してくれてわがまま言ってくれるようになってたあの日々も。

全部全部……もう、終わったんだ。

「っ……あぁくそ、なに泣いてんだよ俺……」

もし俺がこのまま悪あがきをすれば、叶恋は兄貴に傷つけられる。

俺があの子を手放すことであの子を守れるなら……これでいいんだ。

これでいい、はずなのに……。

溢れ流れてくる涙は止まることを知らなくて。