辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 なんでも、香辛料の類は、この国でもある程度は生産できるそうだ。と言っても、この地ではなく、もう少し南の方。

 そして、この地で使われる香辛料は、この地と魔族の暮らす地域を往復している商人とこっそり取引しているものだそうだ。

「ふぁ、魔族」
「まー、王都の人間は怖がるが、そう怖がるもんでもないぞ? ちょっと角が生えたり、尾が生えたりしているだけだ」

 と、ロドリゴは何でもないように言うけれど、角が生えていたり尾が生えていたりするのはかなり大事なのではないだろうか。

 とはいえ、エルもそのあたりには今のところ忌避感はない。実物を見たら怖いかもしれないけれど、ロドリゴが大丈夫というから問題ないだろうと気楽に構えている。

「そうそう、今日あたりそいつが来るからな。エルも食材見てみるか?」
「見る! 見る見る、見ましゅっ!」

 噛んだ。どうしても、興奮すると噛んでしまう。