辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 もともと、ジャンには兄がいた。ジャンの兄もまた、ロドリゴを支える騎士であるのと同時に親友でもあった。

 ――けれど、二十年前。

 魔物討伐に赴いた時、ジャンの兄はロドリゴをかばって命を落とした。

 もちろん、魔物の生息地を領地内に持ち、日々戦っている以上、命の危険があることは承知していたつもりだった。

 ロドリゴとて、自分の命が大切であることを忘れたつもりはないのだけれど――。

『兄も本望だったでしょう。今後は、俺が兄に代わってお仕えします』

 兄が死に、本人だってショックを受けているであろうに、ジャンは涙を浮かべた目でそう言い切った。一人称も、俺から私に変わり、急に大人になった。

 あれから二十年。ジャンに十分報いることはできているのだろうか。他の者には向けない信頼をジャンには向けているつもりであるが。

(……たしかに、思い切った行動と言われればそうかもしれないな)