辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 味覚だけではなく、嗅覚も失うのではなかったか。味覚と嗅覚は密接なかかわりがあったはずだ。

 だが、まだ、結論が出たわけじゃない。

「塩、入れる」
「どのぐらいだ?」
「このすぷん、みっつ」
「このスプーンで三杯だな」

 ロドリゴは、塩の壺からスプーンで三杯、鍋に入れた。おしまい、と言うエルの言葉を聞いて、鍋を火から下ろす。

 そして、平たく小さな皿に少しだけよそうと、冷ましてからエルに渡してくれた。

「味見してみろ」
「……ない」

 用心深く、自分でももう一回ふーふーしてから器を口に寄せる。けれど、まったく味がしなかった。

 エルの目からぼろりと涙が落ちた。こんなに悲しくなったのは、目を覚ましたあの日ぐらいだろう。

「あじ、ない! おいしくない!」

 道理で食欲がわかないはずだ。味覚そのものが奪われている。