辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

「味、ないよ」

 エルはスープを指さした。隣でラースがきょとんとしている。メルリノはラース越しにこちらを覗き込むようにしていた。

「スープの味がしない?」
「うん。ない。これも、ない。ない、ない、ないの!」

 バターたっぷりのパンを指さしたエルを見て、ロドリゴは眉間に皺を寄せた。

「味がしないわけはないと思うんだが……よし、お前達はこのまま食事を続けろ。エルは俺と厨房な」

 ひょいとエルを担ぎ上げたロドリゴは、そのままずんずんと進む。

 食堂を出たかと思ったら、その隣にある厨房にエルを運び込んだ。厨房の奥には、食料保管庫がある。

「――食べられそうなものはあるか?」
「……む」

 エルは、ぐるりと厨房内を見回した。ロドリゴはエルを下ろすと、大きな扉を開ける。そこは、冷蔵庫だった。

 中には牛乳やバター、肉類がしまわれている。それから、果物のようなものも。