辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 隣では、ラースがスープをすくっていた。それだけの声が出るのだから、ここでの食事は病人食と違っておいしいのだろう。

 期待しながら、エルもスープにスプーンを入れた。そっとすくって口に運ぶ。

「……ない、よ」

 味が、しない。スープは適温だけれど、味がしない。

 それから、パンを手に取った。バターをたっぷりつけて口に運ぶ。

 これまたやっぱり味がしない。

「ないよ……おいしくない……」

 ぼろっと涙が零れた。食堂に行けば、おいしいご飯が食べられると思っていたのに、これはどういうことなのだ。

「どうした? 泣くほどまずかったか?」
「辺境伯様! まずいって……」
「そりゃ俺達料理上手じゃないですけど!」

 今日の食事当番だったらしい騎士達が口々に言う。どうやら、エルのスープは、他の皆と同じものが出されていたらしい。

「どうした、エル。言いたいことがあるなら言え」