辺境騎士団のお料理係！～捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります～

　一口大にちぎられたパンを口の中に入れて、もぐもぐと咀嚼。味はしないが、栄養だと思えば我慢できる。

　明日には食堂で食事をしていいと言われているから、もうちょっとましな食事ができるだろう、きっと。

「お、エル。食事はすんだか？」
「これ、お土産ね」

　エルが食事を終えた頃、やってきたのはラースとメルリノだった。二人の手には、柔らかそうなぬいぐるみがある。

「なぁに？」
「ハッピーバニーの毛皮で作ってもらったんだ。柔らかいぞ……！」

　満面の笑みでラースが茶色のぬいぐるみを差し出した。メルリノは白いぬいぐるみを差し出す。どちらもウサギのぬいぐるみだった。

　ハッピーバニーの肉は、シチューにするとたいそう美味らしい。

　エルは実物は見たことがないけれど、毛皮もちゃんと有効利用されているのか。その有効利用の先がぬいぐるみというのがありなのかどうかは謎だけれど。