上手に回らない舌では、エルの考えていることを彼らに伝えることもできない。これからどうしようかと頭を悩ませながらも、エルは再び眠りの世界に誘われていった。
* * *
ラースは、父の執務室に入った。追い出された父は、しょんぼりと執務机に向かっていた。父の側に置かれている机で、副官のジャンは静かに書類仕事をしている。
「あの子、どうだった?」
「名前はエルだって。一応聞いたけど、家のことは覚えてなさそう。家名もわからないみたい 」
「家名がないなら、平民だが――にしては、妙な気品があるな。貴族の子の可能性も捨てきれん」
父、ロドリゴ・カストリージョは、カストリージョ辺境伯としてこの地を治めている領主である。辺境伯領では、辺境伯も騎士団の一員として、魔物討伐にいそしんでいる。
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ラースは、父の執務室に入った。追い出された父は、しょんぼりと執務机に向かっていた。父の側に置かれている机で、副官のジャンは静かに書類仕事をしている。
「あの子、どうだった?」
「名前はエルだって。一応聞いたけど、家のことは覚えてなさそう。家名もわからないみたい 」
「家名がないなら、平民だが――にしては、妙な気品があるな。貴族の子の可能性も捨てきれん」
父、ロドリゴ・カストリージョは、カストリージョ辺境伯としてこの地を治めている領主である。辺境伯領では、辺境伯も騎士団の一員として、魔物討伐にいそしんでいる。


