辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

「こわいー!」

 目の前で親子喧嘩が始まって、エルはわんわん泣いた。それはもうわんわんと泣いた。目が腫れ上がり、ひりひりするまで泣いた。

 夢の中で、誰もエルの側にいてくれなかったのを思い出したからかもしれない。

「うわーん!」
「あああ、泣くな、泣くな。俺が悪かったから!」
「父上はあっちに行って!」

 慌ててなだめようとするものの、男性はハロンに追い出されてしまった。

「ごめんね、エル。父上も悪気はなかったんですよ……ただ、うちには小さな子がいないから、加減がわからなかっただけで」

 困ったような顔で、メルリノがエルの頬に両手を当てる。ひくりとエルは喉を鳴らした。

 メルリノの手から、じんわりと温かなものが流れ込んでくる。それにしたがって、ひりひりしていた頬も、腫れ上がっていた目も落ち着きを取り戻してきた。

「僕の魔術も、こういう時には役に立ちますね」