辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 と、扉を開いて入ってきたのは、四十代と思われる男性だった。背は高く、肩幅が広い。つまり、縦にも横にも大きいのだが、全身みっしりと筋肉に覆われている。

 赤い髪を短く整え、青い目はまっすぐエルを見つめている。

「よしよし、起きられたのならいいことだ」

 声も大きい。ベッドの傍まで来て、頭をぐりぐりと撫でてくれたけれど、その頭を撫でる力も強い、手の動きにつられるみたいに、エルの頭もぐりんぐりんと揺れ動く。

「いたい……」

 目にじわりと涙が浮かんだ。一度浮かんだ涙は、とどまるところを知らなかった。男性はそれにも気づいていない様子でなおもぐりぐりと撫で回した。

「たいの! いたいの!」

 ぼろぼろと目から落ち、頬を濡らし、胸元にまで流れ落ちる。

「父上! 父上は顔が怖いんだから、まだ来ちゃだめって言っただろ!」
「おいラース、お前父に向かってなんという言い草だ!」