辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 エルがそうなだめると、ベティはしゅんとした様子だった。いや、しゅんとしたように見えるのもどうなのだが。
 今度は鞘に再び収まり、伯爵の背中をつついて広間から追い払おうとする。

「こら、やめろ! 私は伯爵だぞ! エルレイン戻ってこい!」

 広間の中をぐるぐると逃げ回る伯爵と、肩を揺らして笑いをこらえる貴族達。広間は異様な光景になってしまった。

「伯爵、黙れ。エル嬢、精霊達をとめてくれるか」

 エルは改めてジェナとベティに手を差し伸べる。伯爵を追い回すのをやめた二人は、ふわふわと空中を漂って戻ってきた。そして、静かにエルの両脇に位置を占める。

「さて、エル嬢」
「はい、陛下」
「辺境伯家で幸せに暮らすといい――これが私のくだした結論だ」
「陛下! その娘は、私の! エルレイン!」
「黙れ!」

 なおも悪あがきをする伯爵に、ついに国王は怒りの声をあげた。