辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 ひゅるり、とエルの両肩のあたりにジェナとベティが来る。そして、丁寧に頭を――頭と言っていいのだろうか――を下げた。まるで、エルを守る騎士みたいだ。

 その様子を見ていた国王は、ひとつうなずいて笑みを浮かべた。

「伯爵、そなたの言い分はまったく筋が通っていない。エル嬢は、辺境伯家で養育するものとする。そなたには、親になったという自覚はないようだしな」
「陛下! 私は、娘を! 娘を愛しているのです」

 なおも悪あがきする伯爵の後頭部を、勢いよく飛んで行ったジェナがぺちんとはたく。後頭部を抑えて呻(うめ)く声に、周囲からはまた笑い声。
今度は、ベティが肩先をつんつんとつつく。鞘からすらりと抜けて、伯爵に狙いを定めると、彼は悲鳴をあげた。

「ベティ、それは駄目。あなたが切るのは人じゃなくて食材でしょう?」