辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 夢の中でエルレインは、ほとんど放置されていた。会話もないし、食事も必要最低限。部屋から一歩でも出れば叱られた。

「エリュレイじゃなくて、エルレイかな?」
「えりゅれいい」

 よく考えたら、エルレインなんて名前、長すぎて貴族っぽい。とっさに名前の二文字だけとってエルと名乗ったつもりなのに通じていない。

「兄上、たぶんエルでいい、じゃないでしょうか」

 メルリノが助けを出してくれた。そうだ、エルと呼んでほしいのだった。エルレインなんて長い名前は嫌だ。夢の中で見たあの人達のことも考えたくない。

「あいっ」

 はいと言いたかったのに。情けなくて顔が歪む。

「そっか、エルか。可愛いなー、可愛いなあ!」

 ハロンは、エルレイン――エルの乗っているベッドの側に座り込んだ。

 うっとりとエルを見つめている。この子、いったいどうしてしまったのだろうとエルは身をすくめた。