辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 ロドリゴが自分のことを「俺」ではなく「私」と言っている。やはり、公の場ではきちんとするのだなとエルは考えた。そんなことを考える余裕があるのなら、まだ大丈夫だ、きっと。

 エスパテーラ伯爵が落ち着きなく身体を揺すっているのに対し、ロドリゴの方は落ち着いている。エルはますますロドリゴにしがみついた。絶対に、離れるもんか。

「伯爵、なぜ、エルを探さなかった? エスパテーラ伯爵家の長女は、病気で亡くなったと聞いていたんだがな?」
「それ、は……」

 そう問いかけるロドリゴの低い声。伯爵は、その声に脅えたかのように肩をびくりとさせた。

 探さなかったどころか、王宮にエルは死んだと届けていた。

「そ、それは……行方不明など外聞が悪いからだ! 娘の将来に差しさわりが出るかもしれん! 探してはいたのだ」

 娘という言葉にエルがびくりと反応したけれど、彼がさしたのはエルではなかった。