辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 エスパテーラ伯爵家族と別れても、がたがたと震えているエルを気遣い、ロドリゴはそう口にした。

「なぜ、あいつが辺境伯と一緒にいるんだ?」

 そう、エスパテーラ伯爵がつぶやくのが聞こえた。エルは必死に聞こえなかったふりを装う。

(どうしよう、思い出しちゃった……)

 このまま、養女になることはできない。だって、思い出してしまった。

 自分が伯爵家の人間であることを。そして、伯爵家でどんな扱いを受けていたのかも、全部。

(もう、駄目かも……)

 あの人と再会してしまった。もう辺境伯領にはいられないかもしれない。

 

 屋敷に戻るなり、ロザリアはエルを膝の上に抱き上げた。

「大丈夫よ、怖いことは何もないから」
「……お母様」

 そう呼んでしまっていいのだろうか。伯爵家の娘であったことを思い出してしまった。もしかしたら、辺境伯家に迷惑をかけることになってしまうかもしれない。