辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 二番目にエルと手を繋ぐ権利を得たメルリノの手に縋りつく。自分でもみっともないぐらいにエルの手はカタカタと震えていた。

「エスパテーラ伯爵、お元気でしたかな?」

 ロドリゴが、にこやかな顔を作って声をかけた。エルの手の震えは、ますます激しくなってくる。嫌な感じのする汗が、次から次へと流れ落ちた。

 辺境伯と実の父の間に、親交があるなんてまったく考えていなかった。

(……そうだ、だから)

 だから王都に来たくなかったのだ。辺境伯領の暮らしが、あまりにも幸せだったからすっかり忘れていた。

 大人同士の挨拶が終わったのか、すぐにロドリゴはこちらに戻ってくる。

「エル、どうしたの? 具合悪い?」
「メルにぃに、違うの」

 具合が悪いわけではないのだ。貴族街の散策だって、楽しみにしてた。なのに、それなのに――。

「今日のところは、いったん屋敷に戻ろうか」