辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 オーブンから漂ってくる甘い香りを嗅ぎながら、顔を見合わせてくすくすと笑う。

(……きっと、こういうのが幸せなんだろうな)

 本当の両親には捨てられてしまったけれど、ここには実の家族以上の愛情を注いでくれる人達がいる。

 これから先、パウンドケーキを焼くたびに、今日のことを思い出すのかもしれない。

 

 ◆ ◆ ◆

 

 ロドリゴの宣言通り、出発の日は早朝に起き出すことになった。

「眠い……」
「悪いな。しばらくは馬車は使わない方が速い。俺に掴まっとけ」
「あい」

 目をこすりながら、「はい」と返事をしたつもりが「あい」になっていた。子供か。子供だった。

 エルはまだ乗馬は習っていないから、ロドリゴの前に乗せてもらう。しっかりとロドリゴと身体を結ばれて、エルは膨れっ面になった。

「エル落ちないよ!」