辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 座り込んだまま涙を流すエルレインに、ナイフが向けられた――手と足を拘束していた縄がぷつりと切られる。

 つん、と縄を切ったナイフの柄が、エルレインの肩をつついた。泣きながらエルレインはナイフを見る。

「……あっち?」

 よし、というようにナイフが揺れる。どうやら、エルレインはナイフが示す方向に行かなければならないらしい。うなずくと、ぱたりと地面にナイフは落ちた。

 エルレインは、目を瞬かせた。今の今まで涙に濡れていた目をぐしぐしと擦る。それから、ナイフが示した方向に向かって歩き始めた。

 よろよろとエルレインは進み続ける。その先に何が待っているのかもわからずに。

 

 * * *

 

 見上げた天井は、見知らぬものだった。

(……殺す気だった、間違いなく)