辺境騎士団のお料理係！～捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります～

　と、頭の片隅で思ったけれど、今日のランチは大量のサンドイッチを作る予定だった。いちいちエルが調理場にいなくても、下準備は大丈夫だろう。

「んふふ、こういうの着せてみたかったのよねえ……！」

　ロザリアが収納袋から引っ張り出したのは、フリルとリボンとレースが満載のドレスと言っても過言ではないワンピースである。いや、ドレスでいいか。生地もシルクが使われているようだ。

「ロザリア様、これ、綺麗ね」
「でしょー！　お友達にお願いして、お下がりを分けてもらってきたのよ！」

　貴族の間でも、子供服の譲り合いというのは実は珍しい話ではない。自分の服を着ている年下の子を見たら、自然と可愛がりたくなるものだし、母親同士の友情を周囲に見せる意味もあるのだそうだ。

　使用人の子供に譲ったり、子孫に受け継がせようととっておく場合もあるため、全部が全部お下がりに回るわけでもないけれど。