辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 時々、パンと水を与えられ、それ以外はずっと馬車の荷台に縛られて転がされたまま。お腹が空いたと訴えるだけ無駄なのだと、これまでの短い人生でエルレインは悟っていた。

 何日ぐらい馬車に揺られていたのかわからない。だが、ようやく馬車を降りることを許されたのは、周囲に人の気配がない場所だった。

 うっそうと木々が茂っている森の中。遠くから、獣の鳴く声が聞こえてくる。

「恨むなよ」

 男がエルレインを地面に下ろした時――腰に下げていたナイフが、鞘から勝手に抜け出した。

「なんだ!」
「化け物って、本当だったのか……?」

 男はあと二人いたけれど、彼らナイフもふわりと空中に浮き上がる。空中で三本綺(き)麗(れい)にそろったナイフは、刃先を男達の方に向けあ。

「あっ、馬車が――!」

 ごとりと馬車が動き始め、男達の視線がそちらに向く。

「どうどうどう、待て待て!」