辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 母って、こんな感じだった――うん、そうだ。前世の母も、こんな感じだった。

「可愛いわ、本当に!」

 もう一度ぎゅううっと抱きしめられて、エルはまた笑い声をあげた。辺境伯夫人に会うというから緊張していたけれど、こんなにも幸せな気持ちになれるのならあまり脅えなくてもよかった。

「懐かしの我が家だけど……ここはお食事がおいしくないのが難点よねぇ……王都の料理人をここまで連れてくるわけにもいかないし」

 ロザリアが頬に手を当てて嘆息した。

 そう、以前はロザリアの食事も、調理当番の騎士団員が作っていたのだ。おいしくないと言っても、ちゃんと毎回完食はしていたそうだ。

 ここは危険な地だから、わざわざここまで来たいという調理人を見つけるのは至難の業なのだ。いくら、辺境伯家が名門だといってもだ。

「それなら、問題ないぞ。な、エル!」
「はぁいっ!」