辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 使用人達も悲鳴をあげ、廊下をバタバタと走りだす。しん、と廊下が静まり返ると、花台はずるずると元の位置に戻った。花瓶が静かにその上に着地し、飛び出た花も花瓶に戻る。

 飛び出す前の綺麗な形にはならなかったけれど、とりあえず花の茎が水に届くように、ぐいぐいと見えない手で押し込められた。

 その間も、エルレインはベッドで丸くなっていた。口に押し当てた毛布はふわふわとしていて、指と交互にちゅーっと吸うと妙に落ち着く。

 身体がぽかぽかとしてくるにしたがって、どんどん眠気が押し寄せてきた。すぅっと夢の世界で、 エルレインは再び眠りに落ちる。

 そしてまた始まる新たな夢。同じような光景は幾度となく繰り返された。

 エルレインに冷たい父。何かある度に飛び回る小物や家具。

 だんだんとエルレインに近づこうとする人も少なくなっていき――最後には、一日三回、食事が届けられるだけになった。