辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 ロドリゴも気にしてはいるのだが、彼には彼で声をかけにくい理由があるようだ。

「……ジャンのお兄さんって、父上の副官だったんだよ。親友でもあったと母上から聞いている」

 ラースの説明によれば、もともと騎士団長はロドリゴ、そして副官がジャンの兄だったらしい。

 だが、ジャンの兄は二十年前に魔物討伐中に殉死。ロドリゴをかばってのものだったそうだ。

 ロドリゴは、今でもジャンに対して申し訳なく思っているようで、この時期のジャンには声をかけるのもはばかってしまっているらしい。

(……だから、か)

 兄の好物なんです、とエルに笑いかけた時のジャンの顔を思い出した。あの時、ジャンはどんな顔をしていただろうか。

 兄に対する思慕の念と、あとは――申し訳なさのようなもの? ジャン個人についてさほど深く知っているわけではないから、それ以上はわからなかった。